零~魂喰(コンジキ)の刃~

零シリーズのオリジナル小説や、個人的趣味のオリジナル小説を書いてます。 更新不定期ですが、気になったら読んでくれると嬉しいです。 感想やコメントもお待ちしてますm(_ _)m

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

零~紅い蝶~オリジナル34

橋を渡り終え、門を開いて中に入ると大きな屋敷の玄関が見える。
玄関までは石が道のように敷き詰められ、周りは玉砂利が敷き詰めてある。
いつ、この屋敷が造られたか定かではないが、中々に凝った造りだ。
悠の話では、この屋敷は「黒澤」という一族の屋敷で、村一番の権力者だったようだ。
大きな溜め池に架かる一本橋、門を開けてからの玄関周りの様子を見ても、皆神村で一番の豪華な建物だ。
「…ここにお姉ちゃんが…」
呟き、一歩屋敷の敷地内に入ったのと同時に玄関前に白い着物を着た女性が立っていた。
澪は思わず息を呑む。
女性は何をするでもなく、何を告げるでもなく、闇に溶けるようにスッと姿を消した。
時間にすれば数秒…いや、もっと短いかもしれない。
だが、その女性の霊は澪の中に強烈な印象を残した。
(あの女の人…まるで…)
嫌な胸騒ぎがする…急がないと取り返しのつかない事態になりそうな予感。
澪は急いで玄関を開け、屋敷の中に入っていった。

―屋敷の中は薄暗く、玄関先からでは中を窺い知る事は出来ない。
恐怖に竦む心を叱咤し、少しずつ屋敷の中を進んでいく。
突然、背後から声が聞こえ、澪は弾かれた様に振り返った。
神社の神官の様な格好をした男だったが、何事かを呟いて姿を消した。
スポンサーサイト
  1. 2013/10/13(日) 02:08:51|
  2. 第三章~大償~
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

零~紅い蝶~オリジナル33

カメラを構えたそのファインダー内に霊の姿は無い。
カメラを動かし、ファインダーに霊を納めようとするが、どれだけ動かしても霊の姿は見当たらない。
ふと、足首に焼けるような鋭い痛みが走った。
足下を見れば、怨霊が橋から上半身だけを出し、澪の足首を掴んでいた。
「あっ…くっ…」
急いでふりほどき、何とか逃れるも再び霊はその姿を消す。
辺りの暗闇も霊の味方をしていた。
よく心霊番組などでは、うっすら光り存在感のある霊も実際には闇に溶け込むほどその存在感は薄く、視認するのは難しい。
白くぼやけた霊体は触れただけで人の生気を奪い、身体を蝕む。
足首の焼けるような痛みを抱えたまま、澪は再び霊との戦闘を余儀なくされていた。
しかし、澪は冷静だった。
戦場において最も重要な事は冷静でいる事だ。
焦っていては情報を正確に分析できず、ひいては生命を落とす。
耳を澄ませる。
神経を尖らせ、タイミングを計って後方へ跳ぶ。
澪の狙いは当たっていた。
怨霊は橋から上半身だけを出し、澪に襲いかかろうとしていた。
だが、そこに澪の姿はない。
無防備な怨霊をファインダーに納め、シャッターを切る。
悲鳴と共に怨霊が吹き飛ぶ。
澪は確信した。
障害物に左右されずに移動が可能な怨霊だが、視覚まではそうはいかない。
つまり、橋の下から攻撃してくる怨霊は澪のおおまかな位置だけを頼りに攻撃しているのだ。
だから、急に位置を変えた澪に反応出来なかった。
果たして、澪の仮説は当たっていた。
それ以降、怨霊は何度も同じ攻撃を繰り出したが、対処法を確立した澪の敵ではなかった。
怨霊を倒し、一息つく澪…足首の痛みはほとんど無くなっている。
怨霊の攻撃を受けると、瞬間的にかなりのダメージを受けるが、決して持続する訳では無いようだ。
殴られたのと同じで、少し時間が経てば痛みもなく、通常と変わらない動きが出来る。
しかし、だからといって攻撃を受け続ける訳にはいかない。
経験豊富な悠なら、こういう事には詳しいだろう…別れる前に話を聞いておくべきだったのかも知れない。
(今は弱音を吐いちゃいけない…お姉ちゃんを探さないと…)
澪は頭を左右に振り、姉の待つ屋敷を目指して歩き出した。

  1. 2013/06/10(月) 14:30:11|
  2. 第三章~大償~
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

零~紅い蝶~オリジナル32

澪は大きな池にかかる一本の橋の上にいた。
悠と別れ、大きな門をくぐった…それだけなのに、まるで遠く別の場所に来てしまった様に感じる。
一歩踏み出す度にギシッと軋む音がする。
辺りは静寂に包まれており、澪が歩く度に軋んだ音だけが辺りに響く。
橋を渡り終える直前、微かな声が聞こえた。
辺りを見渡すが、何の姿も見えない。
ここは怨霊の巣窟だ…何があるか判らず、油断は出来ない。
ふと、池の中に浮かぶ何かを見つけた。
同時に射影機が細かく震え、霊の存在を知らせる。
カメラに収めシャッターを切った直後、背後に気配を感じた。
ぎこちない、首の動きだけで振り返ると、びしょぬれの女の怨霊と目があった。
感情の無い、暗い瞳。
生者への憎しみ、妬みに突き動かされる哀れな「人」の成れの果て。
一瞬驚いたものの、その後の澪の動きは素早く、軽いステップで距離を取りながらカメラを構える。
決して霊の動きは緩慢ではない。
動くスピードは生前と変わらず、障害物など物理的な影響を受けない分、逆に動きは精錬されている。
澪にとっては邪魔になる障害物すら、すり抜けてくる霊は「行動」の自由度だけで有利な立場にあるのだ。
今回の怨霊はそのアドバンテージを最大限利用してきた。
  1. 2013/06/10(月) 13:59:16|
  2. 第三章~大償~
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

神薙-KANNNAGI-43

「…来いよ、化け物。消し炭にしてやる」
一瞬の静寂の後、魔獣は跳んだ。
凄まじい音と砂煙を巻き上げて、魔獣はオルガの前に立っていた。
「我が名はゲオルグ…貴公の名を聞こう。小さき者よ」
ゲオルグと名乗った蜥蜴人(リザードマン)は、オルガを見下ろしながら声高々と名乗りをあげた。
オルガは悠と同じく背は高いが、体格自体は大きくない。
それに対して、ゲオルグは甲冑を着けているものの、筋骨隆々の偉丈夫である事は疑い様が無い。
人狼よりも一回り大きい体躯は、オルガに比べて圧倒的な存在感を放っていた。
「ハッ…化け物が、人の言葉を話してんじゃねぇよ」
オルガが言い終わるのと同時だった。
ゲオルグは手にしていた巨大な薙刀でオルガを薙払っていた。
瞬時にオルガの上半身が肉塊に変わり、吹き飛んだ。
その場にいた全ての者が目の前の惨劇を理解できず、言葉を無くした。
「…次は貴公が相手か?」
ゲオルグは薙刀の切っ先を悠に向け、不敵に笑った…様に見えた。
「…いいのか?…背中を向けたりして…」
悠は気にした様子も無く、無表情に呟く。
ゲオルグの背後では、おぞましい事態が繰り広げられ、梓はあまりの恐怖に涙を流した。
  1. 2013/06/08(土) 17:37:14|
  2. 第2部 C.E1093~
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

神薙-KANNNAGI-42

悠は梓から離れ、刀の柄に手をかける。
臨戦態勢の悠をオルガが制止した。
「待てよ、神薙…こいつは俺が殺る…足りねぇんだよ…血が足りねぇんだ!」狂気に支配されたオルガの表情を一瞥し、悠は背を向ける。
「…任せた…」
こうなったオルガは誰にも止められない。
オルガ=ハザード
彼は他の小隊や自分の部下さえも、自らの魔法に巻き込む事を厭わない。
上に立つ者は、部下の人心を掌握し、一つの組織として部下を率いる事が求められる。
その観点だけを見れば、オルガは隊長格としては不適格だ。
しかし、機構に所属する全ての魔法使いの中でも3指に数えられるオルガを部下にできる者など存在しなかった。
他人の意見を聞かない上に、圧倒的な戦闘力…ゆえに彼は隊長格足り得たのだ。
オルガが魔獣を見据え、挑発する。
  1. 2013/06/08(土) 17:31:29|
  2. 第2部 C.E1093~
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
次のページ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。