零~魂喰(コンジキ)の刃~

零シリーズのオリジナル小説や、個人的趣味のオリジナル小説を書いてます。 更新不定期ですが、気になったら読んでくれると嬉しいです。 感想やコメントもお待ちしてますm(_ _)m

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零~紅い蝶~オリジナル30

澪と別れ、一人脱出の手段を探る事になった悠。
皆神村において、恐らく最も危険だろう場所に澪一人を向かわせたのは気がかりだが、今は考えている場合では無い。
自分のやるべき事…それだけを考え、澪については信じるしかない。

―御園までは一本道で迷う心配は無い。
加えて、怨霊にも出会さなかった為、危険らしい危険は無かった。
(…場所は御園の鳥居だったはず…そこに何かがあるのだろうか?)
半信半疑、鳥居の周りを調べると一枚の紙切れを見つけた。
(…これか…牧村が残した調査資料か?)

「―この高台は「御園」と呼ばれ、文献によるとこの村の儀式において、きわめて重要な意味を持つ場所であるらしい。
真中には「贄岩」と呼ばれる大きな岩がありその周りは結界によって封じられている。
この「贄岩」は文献によると、どこかの穴を封じるための「蓋」であるらしい。
このような巨大な岩でふさぐ穴とはいったいどのようなものなのだろうか。
また、なぜその穴に蓋をしなくてはいけないのだろうか。
もしかしたらその穴こそ、捜し求めていたこの村と外とをつなぐ穴かもしれない。
もっと詳しく調べる必要があるようだ。―」
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  1. 2013/06/08(土) 17:13:36|
  2. 第三章~大償~
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零~紅い蝶~オリジナル31

メモを読み終えた瞬間、背後に気配を感じた。
弾かれた様に振り向くと、そこには怨霊と化した「牧村 真澄」が立っていた。
傷だらけの怨霊と化した牧村はその手を伸ばし、悠に触れようとする。
体勢を低くしながら脇をすり抜け、悠は何とか窮地は脱したが、戦闘は避けられそうに無い。
まるで集まるかのように、新たに村人の霊が3体ほど迫ってきていたからだ。
「…相手にしている暇は…無いんだがな…」
呟き、魂喰(コンジキ)の柄に右手をかけ、怨霊めがけて突進した。

―まさに圧倒的な力の差を感じさせる戦い方だった。
怨霊の攻撃を避け、魂喰(コンジキ)で斬りつける。
ただそれの繰り返しだが、それを流れるように動きながらやってのける。
怨霊を全て退けたが、悠はその場に立ち尽くしたまま肩で息をしていた。
抜けば抜いた数だけ、悠の体力は魂喰(コンジキ)によって奪われる。
激しく動けば動いた分だけ、悠のスタミナは減り筋肉は悲鳴をあげる。
4体同時に相手取ればこうなる事は判っていた。
これに高位の霊が1体でも加われば、さすがの悠でも無事では済まない。
それでも、今は立ち止まる訳にはいかなかった。
「…次は…井戸か…」
記憶の糸を紐解き、地図を辿る。
「…樹月がいた倉の付近か…」
悠は相変わらずの記憶力に満足し、御園をあとにした。
  1. 2013/06/08(土) 17:17:59|
  2. 第三章~大償~
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零~紅い蝶~オリジナル32

澪は大きな池にかかる一本の橋の上にいた。
悠と別れ、大きな門をくぐった…それだけなのに、まるで遠く別の場所に来てしまった様に感じる。
一歩踏み出す度にギシッと軋む音がする。
辺りは静寂に包まれており、澪が歩く度に軋んだ音だけが辺りに響く。
橋を渡り終える直前、微かな声が聞こえた。
辺りを見渡すが、何の姿も見えない。
ここは怨霊の巣窟だ…何があるか判らず、油断は出来ない。
ふと、池の中に浮かぶ何かを見つけた。
同時に射影機が細かく震え、霊の存在を知らせる。
カメラに収めシャッターを切った直後、背後に気配を感じた。
ぎこちない、首の動きだけで振り返ると、びしょぬれの女の怨霊と目があった。
感情の無い、暗い瞳。
生者への憎しみ、妬みに突き動かされる哀れな「人」の成れの果て。
一瞬驚いたものの、その後の澪の動きは素早く、軽いステップで距離を取りながらカメラを構える。
決して霊の動きは緩慢ではない。
動くスピードは生前と変わらず、障害物など物理的な影響を受けない分、逆に動きは精錬されている。
澪にとっては邪魔になる障害物すら、すり抜けてくる霊は「行動」の自由度だけで有利な立場にあるのだ。
今回の怨霊はそのアドバンテージを最大限利用してきた。
  1. 2013/06/10(月) 13:59:16|
  2. 第三章~大償~
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零~紅い蝶~オリジナル33

カメラを構えたそのファインダー内に霊の姿は無い。
カメラを動かし、ファインダーに霊を納めようとするが、どれだけ動かしても霊の姿は見当たらない。
ふと、足首に焼けるような鋭い痛みが走った。
足下を見れば、怨霊が橋から上半身だけを出し、澪の足首を掴んでいた。
「あっ…くっ…」
急いでふりほどき、何とか逃れるも再び霊はその姿を消す。
辺りの暗闇も霊の味方をしていた。
よく心霊番組などでは、うっすら光り存在感のある霊も実際には闇に溶け込むほどその存在感は薄く、視認するのは難しい。
白くぼやけた霊体は触れただけで人の生気を奪い、身体を蝕む。
足首の焼けるような痛みを抱えたまま、澪は再び霊との戦闘を余儀なくされていた。
しかし、澪は冷静だった。
戦場において最も重要な事は冷静でいる事だ。
焦っていては情報を正確に分析できず、ひいては生命を落とす。
耳を澄ませる。
神経を尖らせ、タイミングを計って後方へ跳ぶ。
澪の狙いは当たっていた。
怨霊は橋から上半身だけを出し、澪に襲いかかろうとしていた。
だが、そこに澪の姿はない。
無防備な怨霊をファインダーに納め、シャッターを切る。
悲鳴と共に怨霊が吹き飛ぶ。
澪は確信した。
障害物に左右されずに移動が可能な怨霊だが、視覚まではそうはいかない。
つまり、橋の下から攻撃してくる怨霊は澪のおおまかな位置だけを頼りに攻撃しているのだ。
だから、急に位置を変えた澪に反応出来なかった。
果たして、澪の仮説は当たっていた。
それ以降、怨霊は何度も同じ攻撃を繰り出したが、対処法を確立した澪の敵ではなかった。
怨霊を倒し、一息つく澪…足首の痛みはほとんど無くなっている。
怨霊の攻撃を受けると、瞬間的にかなりのダメージを受けるが、決して持続する訳では無いようだ。
殴られたのと同じで、少し時間が経てば痛みもなく、通常と変わらない動きが出来る。
しかし、だからといって攻撃を受け続ける訳にはいかない。
経験豊富な悠なら、こういう事には詳しいだろう…別れる前に話を聞いておくべきだったのかも知れない。
(今は弱音を吐いちゃいけない…お姉ちゃんを探さないと…)
澪は頭を左右に振り、姉の待つ屋敷を目指して歩き出した。

  1. 2013/06/10(月) 14:30:11|
  2. 第三章~大償~
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零~紅い蝶~オリジナル34

橋を渡り終え、門を開いて中に入ると大きな屋敷の玄関が見える。
玄関までは石が道のように敷き詰められ、周りは玉砂利が敷き詰めてある。
いつ、この屋敷が造られたか定かではないが、中々に凝った造りだ。
悠の話では、この屋敷は「黒澤」という一族の屋敷で、村一番の権力者だったようだ。
大きな溜め池に架かる一本橋、門を開けてからの玄関周りの様子を見ても、皆神村で一番の豪華な建物だ。
「…ここにお姉ちゃんが…」
呟き、一歩屋敷の敷地内に入ったのと同時に玄関前に白い着物を着た女性が立っていた。
澪は思わず息を呑む。
女性は何をするでもなく、何を告げるでもなく、闇に溶けるようにスッと姿を消した。
時間にすれば数秒…いや、もっと短いかもしれない。
だが、その女性の霊は澪の中に強烈な印象を残した。
(あの女の人…まるで…)
嫌な胸騒ぎがする…急がないと取り返しのつかない事態になりそうな予感。
澪は急いで玄関を開け、屋敷の中に入っていった。

―屋敷の中は薄暗く、玄関先からでは中を窺い知る事は出来ない。
恐怖に竦む心を叱咤し、少しずつ屋敷の中を進んでいく。
突然、背後から声が聞こえ、澪は弾かれた様に振り返った。
神社の神官の様な格好をした男だったが、何事かを呟いて姿を消した。
  1. 2013/10/13(日) 02:08:51|
  2. 第三章~大償~
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